哲学/心理学

「象徴」の捉え方

ただし「無意識的なものは外界の事物に投影され(この事物を「象徴」とよぶ)それゆえに間接的に意識される」ということは述べておきたい。だから、変容のプロセスを問題にするかぎり、すぐれて主観的な、融合にちかい体験がカウンセラー−クライエントの双方に…

魂の重さ?

書きだすと思いだすことが多い。 論文で魂の重さが分かると言った方がいた。もしかしたら、本当にそうかもしれない。しかし、そうではないかもしれない。ここが重要だ。撹乱のために反証してみせているのではない。そうではないかもしれない、そのことを十分…

結節点

現象学などについて。数年前、こう言われた。 「現象学現象学って、君はその先に一般性を見出そうとしてないか?いいかい、現象学っていうのはぼくの少ない知識から言っても事例性、個別性を求め、対象そのものをありのままに記述する『現象学的記述』を行う…

モラトリアム

思いめぐらせる取り留めのないことどもをまとめて言葉にする、確かに至難である。 学問に身を埋めてしまいたいと思う。しかし、「両手で門を叩いてはならない。片手にはこれまでやってきたものを抱えて、門は叩くものだ」と、すなわち徒手空拳で殴りこみをか…

地獄

C.G.Jungの『赤の書』より。p254「第一の書」fol.v(r) 地獄の本質を、あなたたちはどう考えているのか?地獄とは、あなたたちの意のままにもはやならないもの、あるいはまだならないものの全てを従えて、あなたたちのもとに深みがやって来ることである。地獄…

境目、法

境目が近づいている。何の境目かだって?質問として認めません。ともかく。もうすぐその「境目」がやってくること、それは脅威ですらあって、何か深い陥穽が口を開いているようにも見える。大袈裟ではない。 「そんな深刻に考えなくても、あっという間に過ぎ…

Sun Ra

孫引き。 Yves Citton, Mythocratie : Storytelling et imaginaire de gauche, Editions Amsterdam, 2010, pp. 16-7. これを『古事記のミトクラシー』(白石嘉治、『現代思想』2011 Vol.39-6所収)から。というかSun Raの音楽が面白い。聞いてから読むとなお面…

メモとか

○ 文章の書き方、ものの見方からだいたいの世代が想像できる、なんて言ったら調子こきやがってこのガキが、とか言われるんだろうか。往々にして、というか常に既に(はじめてつかった!)何の理由もない手前勝手な理解なのでなんとも言えんが。バーッと文章…

Talmud:メモ

脚注に次ぐ脚注。または脚注の脚注。このタルムード、前述したが、ユダヤ教の選民意識がもろに出ているともいう。脚注は、「文章理解を目的とし、本文とは別に、補足的に説明や指示を書き込む方法のこと」と言えばいいのか。タルムードでは、この脚注の仕方…

シーニュ、しるし

とりあえずシーニュやらシニフィアン、シニフィエ、ついでにレフェランやら。 「応答する呼びかけ」(湯浅博雄、2009)では、他者との関わりにおいても、プルーストが表現した記憶の甦りなどと同様に、(知識による理解が)不可能なものとの関わりとなる、とい…

独自の経験

『応答する呼びかけ』(湯浅博雄、2009)を読んでいる。疑問点がいくつか。 本書で引用される文章はとても興味深いものが多い。しかし、それに対する湯浅氏の言及に引っかかる。 たとえば、プルースト「失われた時を求めて」より。記憶が何かのきっかけで不思…

論文

久しぶりに気鋭の(……そう私は思っているのだが)方の論文を読ませて頂いている。彼のケレン味あふれる語彙の選び方や、論理のつなぎ方は読む者をある種の感覚へ導く。これは違和感とも言う。ふだん使うことのない言い回しは、ある者には苛立ちや理解の拒絶を…

濁流と一滴

言葉とイメージ、これらを総動員して実際に使うことができるのはほんの少しに過ぎない。 いや、費用対効果の話ではない。それだけの労力を費やしてこそ、現実に効果が得られるのだと思う。営為に営為を重ねてこそ、形ともなろう。どれか一つの恣意的な選択に…

「切りとれ、あの祈る手を」第五夜

「切りとれ、あの祈る手を」第五夜、読了。 第三夜のみ感想を述べても仕方のないこと。連れに佐々木中を紹介すると「え、代々木忠?」と聞き返された。いや似てるけどね。こちらは各地で上映中だそうです。『YOYOCHU Sexと代々木忠の世界』。置いといて。 こ…

「切りとれ、あの祈る手を」第三夜

佐々木中の語り下ろし「切りとれ、あの祈る手を」を読んでいる。今日は第三夜。読解能力の低さゆえ、一日一夜のペースになる。 思い起こせば…以下脚注。*1 論理だてて語ることが苦手なので、散漫につなげていこう。 氏の関心の焦点は、「読む」ことにあるよ…

流動的、非-主語的

今日、どのように考えても、実践における文法は極めて動詞的なものだ、と思えて仕方がなかった。いや、非-主語的と言った方がよいのだろうか。…する、ということによってのみ行動が成立する、と。そこで、それは何々だ、と名付け、分析・解釈を行ったところ…

核心、真の名

以降覚書。外縁をひたすらなぞり続けること。それは、核心に敢えて触れずにいること。しかしひたすらに、その派生的な事柄に言及し、それが何かを付随的な観点からしか述べないこと。すると、実際に核心に触れずとも、核心への意識を持ちながら語り続ける意…

天竺

突然胸をかきむしりたくなるような衝動にかられ、いったいそれが何だったのかを問うこともできず、焦燥感にも似たその体験は、時折眉間から胃袋の間を去来しては消えて行く。フォーカシング(Gendlin,E.T.)にも似たその思索行為は、私の嗜癖にもなっているよ…

花鏡一節

「〔劫之入〕用心之事」*1 住劫について話が及ぶ。これは「良い劫が停滞し、悪い劫に変質すること」と意味される。劫は功とも書かれ、ともに永い時間を指す。世阿弥は都優位に考えていたのだろう、鄙に居ることで住劫を成すと。しかし差別主義的とも言えない…

布置だとか何とか

いまだに、というか「布置」という言葉に向かおうとする人がいる。深層心理学をかじったことのある者ならば、一度は耳にする言葉である。この言葉が検索されるのを見るたびに、私は妙な苛立ちを覚える。なぜこんな言葉が気になる?これに気を向けていても、…

茫洋の海、屹立する知

ことばにもならぬ音を発し続けていることにどれほどの価値があるのか。ここでは、あるとしか言いようがない。もちろん、それを言葉として認識できる程度の狭量さしか持ち合わせていない私たちにとっては、言葉とは単なるフィルターでしかないのだが。ここで…

「場」としての言葉

すでに私は何かに取り憑かれたかのようにうわごとを口走っているのは分かっている。しばらくここで書き続けるのをやめることは出来ないだろう。 ここでもう一つ検討したいのは、場としての言葉だ。最近気付かされたことの一つである。知り合いの女性は言った…

「夜戦と永遠」引用

取りあえずやっと第一部のラカンを読んだ。凄く面白い部分もあり、付箋を貼ったりもしたが、それからしばらく時間が経ったのと、借り物なので書き込みができないのとで、なぜチェックしたのか今は分からない所ばかり。取りあえずいったん返却。付箋の部分を…

『盲者の記憶』引用

ところで、「見えざるもの」のこの「幻(ヴィジョン)」から出発して、そのすぐ後に、天使は書くことを命ずる。感謝するためには、すなわち恩寵を返済するためには、出来事の記憶を書き込まなくてはならない。(……)語りの記録文書、書き記された物語は感謝し恩…

それは「象徴」ではない

象徴とは何か。「何かを代理する、代表するかのような内容の言葉、あるいは記号である。とくに精神分析では無意識との関係で理解されるもので、何らかの心的な内容、心的なエネルギーを代表、あるいは代理するもの、あるいは置き換えられたものを象徴と呼ぶ…

『斜めから見る』感想

ジジェクに関してよく聞くのが「(ラカンを扱っている割には)意外と分かりやすい」という言葉。本人が言ったかは定かでないが、具体的な事柄を挙げてラカンの理論を紐解いてみせるのだけど、実際のところラカンの理論の核心に迫ってはいないとか何とか。私は…

「有罪者」抜き書き

大事なことを書いているんだろうけど、何せ主語が何かとか、何をもって論をつなげているのか分からなくなることがある。わざわざ引用してすぐに書き換えられる場所でこうやってアホみたいなことをやってみるのもなかなかタメになるんじゃないかと思ったりす…

布置とか共時性とか

「ぐうぜ〜ん。これって布置だよ、きっと」 俺は冗談が嫌いだ。布置とか共時性とか言うな。人間の力の及ばないもので、簡単には説明できないものを運命のなせるわざで済ませる軽薄さが我慢ならない*1。しかも「偶然起きたことを“他でもないこの私”が目撃した…

『有罪者』抜き書き

亀裂した、閃光にみたされた深みの底の底へ投げこまれて、叫ばんばかりに愛すること――深淵の底に在るものを知ることは、もはや問題ではないのだ。私はまた燃えたったまま書いている。もっと先へ行こうなどとはするまい。何も付け加えることはない。空の大火…

ナイーブメン(にとって)の現象学

なぜ現象学を用いなければならないのか。実際の事柄を理解するには数多くの方法論が既に存在している。その中で現象学を用いるのは、“事象そのものへ”と向かうあり方が、個別性、事例性を注視する分野において重要な位置を占めていると思われるからだ。そこ…