Sun Ra

孫引き。
Yves Citton, Mythocratie : Storytelling et imaginaire de gauche, Editions Amsterdam, 2010, pp. 16-7.
これを『古事記のミトクラシー』(白石嘉治、『現代思想』2011 Vol.39-6所収)から。というかSun Raの音楽が面白い。聞いてから読むとなお面白い。

われわれとしては、こうした『古事記』における諸力の輻輳を「ミトクラシー(神話政治)」とよびたい。異形の音楽家サン・ラーに由来する言葉だが、イヴ・シトンは近著でその概念の射程をつぎのようにいう。

ミトクラシーという用語によってしめされるのは、特定の「ひとびと」が幼児化した市民を眠りこませるためにお伽噺をもちいるような政治体制だけではない。それは「神話」――(古代ギリシア語の語源では)たんなる言葉であり、また(近代的な用法では)創世の物語である――にそなわる、個と集団の新たな生成を切りひらく能力を意味する。[……]サン・ラーをもう一度引くならば、「ミトクラシーをこころみること」は、まさに神話(言葉、物語)の両義性に直面することである。それはわれわれを眠りこませると同時に、眠っているあいだにわれわれを夢見させるのであり、そのことによってはじめて想像できるようになるのは、「われわれがそうであるべきなのに、けっしてそうならなかったもの」である。