2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

呼び起こされるもの

1つの話題に関して何か言おうとするとき、おそらく何通りもの言い表し方があるのだろう。 ときどき思い出したようにレヴィナスの著書に手を伸ばすと、言い知れぬ何かが、他の著書では感じられない身近さと温かみを持って呼び起こされるのだ。もちろん、それ…

夢の匂い

毎晩夢を見る。ほとんどが目覚める時に忘れ去られる夢を記憶にとどめておきたい。何度もそう思った。 その方途の一つは、「匂い」かもしれない。すぐれて印象を残す、目以外の器官、鼻。現実の匂いではなく、夢の中での匂い。感情をかたどる、一つの感覚。幻…

目配せ

普遍的な人物像にまで云々。あるいは想像力の問題。 本を読む者がその理解にあたって現実のあれこれと関連付けようとすることをナボコフはこき下ろす。しかし、また別の場所で聞いた、普遍的な人物像を描出するのなんのと誰かが言う。たとえば、先の『桐島、…

身近な血肉

血と肉と。そんなことを思い描いているのは、いまだに私が欲望にとらわれているからなのだろう。克服できたと思っても、しばらくすればそんな固い誓いに目もくれず、欲望の向かう先へと引きずられている。どれだけ無益な誓いを重ねれば気が済むのだろうか。…

拠って立たれる物

思念を具体に落とすこと。まるで出来事を起こすことにとらわれ、そのわざとらしさに気付かず、あるいは刺激を追うことに腐心するのでは、必然性が成立しない。では、必然的「ではない」とは何か。表層の根拠にとどまり、それ自体が代替可能なものであること…

隔てと「正義」

バスケットボールでパナソニックが優勝したことを受けて、個人的な追想。 美しき者たちよ――私があなたたちをそう呼ぶのを許してほしい。よからぬ思いで呼んでいるのではなく、そう呼ぶ以外に言葉が見つからないのだ――。 美しき者たちよ、その輝ける若さと身…

メモ

円環 凝縮 重奏

かつての塗炭

思い出したくもないことを思い出す。 強者を自称する者たちが群れて、弱者を排除する。弱者に分類されるような者も強者に交じれば、弱者を見下す。私のいた場所はそういうところだった。自らの学歴がオールマイティパスになっていると勘違いするくらいならま…

進化の話

ヱヴァンゲリヲン:Qを再度鑑賞して、連れは「これは進化の話なんだ」と言った。 我々は何者か、我々はどこへゆくのか、と言った者がかつていた。アイデンティティをめぐる問題として、そして今、自らの生にあずかっているものの存在論として。17年前のアニ…

『桐島』感想

『桐島、部活やめるってよ』を鑑賞。ここにも上手く言うことのできない体験をしてしまった。私の感情の水位があがるのに合わせて、この映画の印象は私の中で上下する。多くの映画の場合、特にこれというシーンが強いインパクトで思い出されるのに対し、この…

肉的なもの、象徴的なもの

ハウルから。 肉的なものと象徴的なものが、理屈や筋を抜き去ったあとに残るのではないか、と思った。理屈とは意識の所産。明示的な一義を求めるもの。肉的なものと象徴的なものは、対して意識ではとらえがたいもの。多義的なもの。本来、意味という形をもた…