2013-01-01から1年間の記事一覧

情報にアクセスする前に、やらなければならないことがある。自らの狂気に。自らを、狂気に。自らを、狂気へ。与えられ続ける新しいニュースを食べては排泄し、その息詰まるような生活を続けるのではいけない。まず、私が自らをつなげなければならない先は、…

ベケット、肉感

*「方法的懐疑→孤独な主体→他者との出会い→愛→出来事(あるいは美)という、いかにも「哲学」的な線形の物語に回収されすぎている」 *『ベケット―果てしなき欲望』バディウによるベケット論。ハマノフスキによるレビューの引用語ることもできないまま、言…

新しいもの

新しいものはない。どれほど「新しいもの」を探しても、目当てのものはない。自分の欲望にぴったりとはまるような「新しいもの」など、存在しない。だから近くに落ちているものでも拾い上げ、口に運ぶ。これがネットサーフィンの一つの姿。 下に乗るようにな…

無理解と断絶

悪態を吐く者。無理解な者。これらの方々は、自らの規準に合わないものを否定する。拒絶する。彼らに何を指摘しても、どのように非難しても、無駄だろう。受け付けるつもりが最初からないのだから。「おかしい」「バカ」「どうかしている」、讃辞として使わ…

未だ手に取られざる本

自らに向けて。 未だ手に取らざる本への、あの高揚感は何か?明快に、しかしところどころ晦渋な説明に胸ときめかすのはなぜか? 原著にあたった時の挫折を予想もせず、私は手に取らざるとき、何を期待していたのか? それはあらかじめ手に入るように準備して…

’talking about...’と「翻案」

或る理論なり構築物をモチーフとして何かを述べるとき、できうるならばそれの論点を十分に把握することを前提としたいものである。論文とはまさにここを重視する必要に迫られる。しかし「物語る」という行為で代置される場合、事情は少し異なってくる。そこ…

合理主義の功罪

非言語性などと言っているから、話が先に進まないのだ。 時間の長短をどのように示すのか、タイミングなどのようなリアルタイムでの緊張感をどのように表現するのか。まるで言い当たる表現など思いつかないのだけど、あるくだりを読むとさにあらんと得心する…

本の架空

重要なのは本の実際の中身ではない。「私はこの本に何を期待し、どのような物語を想像する?」だ。たとえ中身を知ったところで、それが私なるものを豊穣にさせるとは限らない。それはそれ、なのだ。 これだけはしっかりと認識しておきたかった。 『無分別』…

思い出

「あいつは英文を単語一つ一つ追って読んでいくんだろう」 許せん。悔しい。本当だ。もう、手放さない。

『本』2012.10月号

リチャード・ローティ。「真理」。渡辺幹雄。 http://d.hatena.ne.jp/sumita-m/20130311/1362972649

『永遠の0』 amazonレビューから

・自らをカテゴライズすることで免罪されることがあるらしい ・特に「戦争」「災害」などは個々人が(ややもすれば)二極化する思想に属することを求められる。そうでない者、避ける者さえも。 ・プロットの構成、知識の正誤は取り上げられやすい ・人の思想…

未生のもの

・知識を与えても意味はないのだ。私が与えたはずのものは、手を離れた瞬間に/口を衝いて出た瞬間に、別のものとなる。本質など(あればの話だが)いともたやすく損なわれる。 ・体感、というと外界からの刺激を思い起こすが、一時的な刺激のみが我々の―感覚…

独善性について。

憎しみを込めて思い出そう。 彼らは、自分たちが共同体だと臆面もなく言ってのけた。俺たちは仲間だ。だから共に悩みや苦しみ、そして喜びを分かち合おう。しかし同時にこうも言う。俺たちは仲間なんだから、秘密事はなしだ。お前は昨日何していた、飲み会に…

他者と神話

「外にあるもの」とは「私にないもの」と同義ではないが、この「外にあるもの」がわれわれの目を驚かし、体験の妙を言祝がせる。私はこれを「他者」と呼ぶ。“外”に居るもの。“外”にしか有り得ないもの。外にあるものを題材にしようとしている、という田中の…

Dialogの不可能性について

dialogとはなにか。そもそも完全な他者理解などありえない。他者の存在と差異を相互に認識し、共有を図ることがdialogならば、それはあまりにも無力であるか、遂行可能な者は絶望的に少ないかのいずれかである。われわれは自らの世界の内でしか他者を想定す…

『真理と述定』の翻訳

『真理と述定』。 門外漢が手に取ったのがそもそもまずかったのか、どうしようもなく読みにくくて閉口した。あるいは論理的な思考能力が低い俺のせいだってか。もうそういった手合いの非難はいくらでも受けるが、しかし久々に不快感を残すほどの悪訳に出会っ…

呼び起こされるもの

1つの話題に関して何か言おうとするとき、おそらく何通りもの言い表し方があるのだろう。 ときどき思い出したようにレヴィナスの著書に手を伸ばすと、言い知れぬ何かが、他の著書では感じられない身近さと温かみを持って呼び起こされるのだ。もちろん、それ…

夢の匂い

毎晩夢を見る。ほとんどが目覚める時に忘れ去られる夢を記憶にとどめておきたい。何度もそう思った。 その方途の一つは、「匂い」かもしれない。すぐれて印象を残す、目以外の器官、鼻。現実の匂いではなく、夢の中での匂い。感情をかたどる、一つの感覚。幻…

目配せ

普遍的な人物像にまで云々。あるいは想像力の問題。 本を読む者がその理解にあたって現実のあれこれと関連付けようとすることをナボコフはこき下ろす。しかし、また別の場所で聞いた、普遍的な人物像を描出するのなんのと誰かが言う。たとえば、先の『桐島、…

身近な血肉

血と肉と。そんなことを思い描いているのは、いまだに私が欲望にとらわれているからなのだろう。克服できたと思っても、しばらくすればそんな固い誓いに目もくれず、欲望の向かう先へと引きずられている。どれだけ無益な誓いを重ねれば気が済むのだろうか。…

拠って立たれる物

思念を具体に落とすこと。まるで出来事を起こすことにとらわれ、そのわざとらしさに気付かず、あるいは刺激を追うことに腐心するのでは、必然性が成立しない。では、必然的「ではない」とは何か。表層の根拠にとどまり、それ自体が代替可能なものであること…

隔てと「正義」

バスケットボールでパナソニックが優勝したことを受けて、個人的な追想。 美しき者たちよ――私があなたたちをそう呼ぶのを許してほしい。よからぬ思いで呼んでいるのではなく、そう呼ぶ以外に言葉が見つからないのだ――。 美しき者たちよ、その輝ける若さと身…

メモ

円環 凝縮 重奏

かつての塗炭

思い出したくもないことを思い出す。 強者を自称する者たちが群れて、弱者を排除する。弱者に分類されるような者も強者に交じれば、弱者を見下す。私のいた場所はそういうところだった。自らの学歴がオールマイティパスになっていると勘違いするくらいならま…

進化の話

ヱヴァンゲリヲン:Qを再度鑑賞して、連れは「これは進化の話なんだ」と言った。 我々は何者か、我々はどこへゆくのか、と言った者がかつていた。アイデンティティをめぐる問題として、そして今、自らの生にあずかっているものの存在論として。17年前のアニ…

『桐島』感想

『桐島、部活やめるってよ』を鑑賞。ここにも上手く言うことのできない体験をしてしまった。私の感情の水位があがるのに合わせて、この映画の印象は私の中で上下する。多くの映画の場合、特にこれというシーンが強いインパクトで思い出されるのに対し、この…

肉的なもの、象徴的なもの

ハウルから。 肉的なものと象徴的なものが、理屈や筋を抜き去ったあとに残るのではないか、と思った。理屈とは意識の所産。明示的な一義を求めるもの。肉的なものと象徴的なものは、対して意識ではとらえがたいもの。多義的なもの。本来、意味という形をもた…