2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

小虫が囁くように

書きたいと思って、この疼きの捌け口を求めてキーボードに向い、はたとその手が止まる。 そのようなことがないだろうか。 私は、常にそうやって自分のかそけき声を欲望によって塗り潰し、そして「ない、ない」とうろたえる。 「ない」のではなく「なくなった…

隠された炎

「ふたり」でいると、息苦しい。「さんにん」でいると、場を支える。「よにん」より多いと居場所がないし、いなくてもいいと思う。やはりわたしは「ひとり」がいい。後ろ髪を引かれるように「ふたり」でいたその人を「ひとり」にすることに罪責を感じる。 ――…

Insoeamet, 華咲く女

インゾエアメット。その女は口先から花びらを散らす。掴み損ねた男たちに、慈しみの愛を与える。ある日、彼女が道で出会った男のこと。男は見るからに打ちひしがれていた。すべてを失った男に、目の光はなかった。このまま朽ち果てるかのように、ただ切れ端…