地獄

C.G.Jungの『赤の書』より。p254「第一の書」fol.v(r)

地獄の本質を、あなたたちはどう考えているのか?地獄とは、あなたたちの意のままにもはやならないもの、あるいはまだならないものの全てを従えて、あなたたちのもとに深みがやって来ることである。地獄とは、あなたたちが以前には達成できたことが、達成できないことである。地獄とは、あなたたちが望んでいないとわかっているのもの全てのことを考え、感じ、そして為さねばならないことである。地獄とは、あなたたちが為さねばならないことが、したいことであるとわかり、しかも自分自身にその責任があるとわかることである。地獄とは、自分で目論んでいる真剣なことが全て、ばかばかしいことでもあること、洗練されたものが全て粗野なものでもあること、あらゆる善きものが悪しきことでもあること、あらゆる高いことが低くもあること、そしてあらゆる親切な行為が恥ずべき行為でもあることを、知ることである。

続けて引用しよう。

最も深い地獄とは、地獄は地獄ではなく、陽気な天国であることに気づくことであり、それ自体は天国ではないけれども、あなたたちが気づく限りにおいて天国であり、あなたたちが気づく限りにおいて地獄なのである。
これが神というものの両義性である。神は暗い両義性から生まれ、明るい両義性へと上昇していく。一義性は一面性であって、死にいたる。両義性は、実に生の道なのである。左の足が進まなければ右の足が進み、歩むことになる。それを神が望むのである。