パラクバにて

ネタは半分までしか出ていないが、置いておけるのはマイドキュメントとここだけ。取りあえずポイ。

窓の外からは潮騒と草木の鳴る音が響く。快い音だ。軽やかな鳥の鳴き声、そして子供たちのはしゃぐ声。本当に幸せな場所である。子どもが明るい環境は良いところだ、と誰かが言っていた。昨日も私が市街を歩いていると、喧噪もそこそこに公園で人々が涼んでいるのが目に入る。かれこれこの地に留まって1月近くは経つ。英字新聞に目を通しても、犯罪が起こっている様子もない。しかし、ここはこんなに治安の良いところだと聞かなかったはずだ。日本人客も私以外に数人しか見ない。確かにマイナーではあるが、そこまで見つかりにくい場所でもないだろう。現にあの旅行代理店ではキャンペーンを行っていて、この国への費用は格別安くなっている、と大プッシュしていたのだ。私もそれに乗せられて海外旅行を思い立ったクチだ。長期休暇ではいつも一人城之崎で湯治を決め込んでいるところだが、店のパンフレットには天国だか極楽だかの文字がやたら目に入ってくる。あの代理店の兄さんのトークもくどくなくてよかった、もうその時点で私はこの極楽に足を運んでいたに違いない・・・何かを思い立つ時なんてこんなものだ。別段これといった理由があるわけでもない。温泉の二文字もいつの間にか頭から消えていた。ここに来てから2,3度ジャグジーを使ってはいるが温泉の代わりになるわけでもない。個室だ、というのが存外に私の気に召さなかったようで、それからほとんどバルコニーのチェアに寝そべって昼寝だ。まったくいい身分だ。いつの間にか時間は経つもので、陽が昇りまた沈み、それが何回繰り返されただろうか。私はその間飽きることもなく、昼寝と散歩を繰り返していた。まあ休みをそれくらい取っていれば普通の人間は回復するもので、心身ともになんとも言えないほどの活力が湧いているのを感じる。こんなことは記憶にある限り、何年もなかったことだ。