2008-06-02から1日間の記事一覧

蒲の穂

山酔亭のおじさんの言葉がじわりと目にしみる。波止場はすっかり暗くなり、私の背中に火が宿る。このまえうっかり外に出て、お父さんも一緒に出かけちゃうぞといったのが運のつき、寂しげに息子がお父さんそれがお節介というもんだよと言われた日にゃ、これ…

ベスと一緒。

僕の家は犬です。犬の中に家を買ってます。その中にはお父さんとお母さんがいます。どっちにも名前がありません。べスは鳥かごの中によく入って遊びます。でもよく夜遅くまでかごに入っているので、お父さんはやめなさいといいます。そんなときべスは怒って…

雪の飛沫

突然、夢は覚めた。夜行列車の窓から吹き付ける隙間風が、私を現実に引き戻した。しかし、どうしたことか、現実は現実のような実感を伴わず、そこにいる私はいつまでも受動的な、そう、温い水の中にいつまでも揺蕩っているような感覚のままであった。外は雪…