物語

雪の飛沫

突然、夢は覚めた。夜行列車の窓から吹き付ける隙間風が、私を現実に引き戻した。しかし、どうしたことか、現実は現実のような実感を伴わず、そこにいる私はいつまでも受動的な、そう、温い水の中にいつまでも揺蕩っているような感覚のままであった。外は雪…

喫水書

もはやその果てには限りなく茫漠たる水煙が立っているだけです。あなたは見たでしょうか、蛙の肌をした馬が嘶いたその瞬間、周りの水面は泡立ち、共鳴するかのように大きな唸り声がこの世の形ある物をを切り裂くばかりに響き渡ったのを。現に私の友人は、隣…