『少女ゾンビ』

なんともひどいマンガ…であるはずのものが、時間が経っても忘れることのできない違和感となって残ることがある。今回それに当たるのが、ヒロモト森一の『少女ゾンビ』。この作品から一体何を言えばよいのか。世紀末的叙事詩?殴り書きのような画を主にし、むせかえるような湿気の漂う地上、地の底から湧いてきたかのようなゾンビの群れ*1。ゾンビがなぜ発生したかも、ゾンビ殺しのゾンビがいったい何者なのかも問われずに、ただ、それぞれの場所でのできごとが無造作に投げ込まれる。生きている者は知らず死んだ者に噛まれて道連れになり、あるいは生者・死者を問わず艶めかしく張った軀をあらわに徘徊し、まぐわう。画力はある。しかし何かの怨念のように、あるいは反体制的文化の流れに乗り、このような無造作な絵がズラズラと並ぶのだ。そして物語として収斂しそうなネタがまとまり、最後に形となっていく。これはパニック物を形にしたのだろう。しかしなんだこの違和感は。破綻している、と言っていいのかさえも分からなくなる。これがゾンビ、パニックの本格派だと?何と言えばいいのかは、後回しだ。違和感のコレ。

少女ゾンビ (GAコミックス)

少女ゾンビ (GAコミックス)

*1:CG彩色のせいだろう。濃く彩られたCG彩色は、単色印刷で汚らしく、息苦しい様子を作り出す。3色刷りでも同じ!!