映画感想2本

昨日と併せて映画4本。忘れぬうちに、思ったことを簡単に書きとめておく。
ダークナイト ライジング』
原題はDarkknight Risesなのに、なぜライジングなのか。あれか、レクター博士のシリーズで『ハンニバル ライジング』と合わせたというわけだな。あの原題はHannibal Risingだったんだけど…ともあれ覚えを良くするのはいいことですね。
1作目よりも面白く、2作目よりもやはり劣る内容。前作『ダークナイト』と比べちゃいけねえよ。あれは、ヒース・レジャーの存在感があってこその作品なんだもの。彼が演じたジョーカーは、特殊なキャラクターとして際立っていた。けっしてジョーカーが主人公ではないものの、テーマの根幹を担っていたと言ってもいいだろう。それが何なのか…ここを説明しないとどうしようもないのだけど、置いておこう。恣意的な解釈として退けられてもいいのだけど、あの作品になくてはならないキャラクターだったのは、もう説明するまでもないんじゃなかろうか。
これに対して今回の作品は、ジョーカーに代わってベインという巨躯の男。口には黒いマスクのようなものを付けていて、護送中のレクター博士みたいですね。彼が徐々にストーリーに食いこんではいっているものの、どうも前回のような魅力を感じられないのは、クライムサスペンスとしての内容構成に気を使い過ぎていたからなのかもしれない。バットマンはベインにどのように嫌がらせをされるのか、どうやって打ちのめされるのか、どうやって反撃をして、どうやって倒すのか。ベインは何が目的なのか、一体何者なのか、など。基本ラインをきっちり抑えようとするあまり、どこかで見たような感じを何度も受けるし、先が読めてしまう。もちろん、先が読めたってデジャヴがあったって、それ自体が問題なんじゃない。問題なのは、そうした目的の大半が単なる構成やバランスだけのために見えるのがまずいのだ。正直、まわりが望んでいるような見せどころなんて作ってほしくなかった。私が見たかったのは、独り歩きして製作者さえもひっかきまわすほどの登場人物の姿だったり、「このシーンじゃなかったらこの映画は成立しない」とまで思わせるようなインパクトだったりするのだ。
つまり、バットマンとベインはわざわざあのタイミングでタイマン張らなくてもよかったのだし、執事はウェインに「私この仕事辞めますよ」って言うのをわざわざ映さなくてよかったのだ。ほかにもいろいろあった。これらの、不自然ではないんだけど、そこまでの必要を感じないようなテンプレシーンが何度も出てきていたのだろう。1作目で感じたあの喉の奥のザラザラ感ともいうような不快感が、今回も少なからずあったのだった。むろん、テンプレだろうと胸のすくようなアクションシーンがあれば思わず喝采を叫びたくなるのは本当だ。でも、しばらくすれば詳細を忘れてしまうし、忘れてしまったとしても心地よさよりも、先に言ったような“いま何観たんだっけ…?”とか“で?”とか、気持よさとはどうしても別のものが残りがちではある。
あとは、2作目で味をしめたのか、ある種のメッセージ性が挿まれるような内容だったのも気になった。「こういうとき、君ならどうする」って。そんなん聞かれたからって答えられるものじゃないし、考えさせられてるような感じになるのもあまり気持ちのいいもんじゃない。“考えてしまう”ように、暗に仕向けられるのが楽しいのに…。そのため、不格好な思想の形をしたメッセージが、コロコロと登場人物たちの口を借りては出てきて、一向にきれいにまとまっていかない。話はまとまっていくんだけど、そんな簡単な話でいいんですかっていうように、いつのまにかディテールは忘れて行かれて、受難者としてのバットマンが崇高なのは皆も納得してくれただろうね・・・とも言わんばかりの話に落ち着いて行っているのは、ほんとうにどうかと思った。
まあ、面白いのだけどね。取りあえず、1度目観た感想はこんな感じ。あと2回くらいは見ると思う。


ヘルタースケルター
今回の4本ではずば抜けてキてた。『さくらん』よりもずっと面白い。沢尻エリカだったからこそなのかもしれないが、あの選曲のセンスといったら!映像の使い方、脇役の固め方、どれをとっても主テーマを軸にギュンギュン回っている。たまらん。個人的には、戸川純の『蛹化の女』(むしのおんな)が入っているのにびっくりした。戸川純は最近知った。パッヘルベルのカノンにあの歌詞を合せるとなんとも言えん感じになる。浜崎あゆみの『evoution』も、冒頭のドイツ語なまりの歌も。あれってクラウス・ノミが歌っていたやつじゃなかったっけ。。。←間違い。Nina Hagen の Naturträne 。

たまりません。観客の女の子率がものすごかったけど、さもありなん。そういう世代の人たちがぜひ脳に刻んでほしい映画かもしれません。


残りは『魔法少女リリカルなのは 2nd A's』と『アメイジングスパイダーマン』あとは後ほど。