ムカデ人間

どうやら、ここに観たい映画をメモしておくとそれだけで満足してしまって、気が付いた時には上映終了とかまじありえん。アホか。
今回は知人に誘われた作品をひとつ。


ムカデ人間』。
トム・シックス監督。“オランダの鬼才”とある。そういえば『人喰族』もオランダ産だったか。日本人の監督兼俳優、北村昭博も出演。去年の初夏にアメリカで公開され*1、ゆうばりファンタスティック国際映画祭でも上映されたのか。
マッドサイエンティストが複数の人間の口と肛門をつなげてムカデ人間を作ろうとする映画。
マッドサイエンティストが登場する映画だと(観ていないのも含めて)、『カリガリ博士』(1919)、『フランケンシュタイン』(1931)、『エドガ・アラン・ポーのマニアック』(1936)、『ザ・フリークメーカー』(1973)や、『悪魔の植物人間』(1973)、『ロッキー・ホラー・ショー』(1975)、『ドクター・モローの島』(1977)、『ZONBIO 死霊のしたたり』(1985)、『ゾンビ・ホスピタル』(2008)、『恐怖』(2010)など。別にわざわざ調べなくても、映画秘宝とかで特集組んでいるだろうしそっちを参照した方がいいだろ常考…。
他にもマッドサイエンティストではないが、『死体解剖医ヤーノシュ』(1995・ドイツ)も思い出す。
知人の言うには“駕篭真太郎みたいなアイデア”。確かに猟奇と汚穢が貼り付くように混在する、吐き気を催すようなアイデアは特に駕篭真太郎によく見る。最近彼が出した単行本『アナモルフォシスの冥獣』はサスペンスタッチで面白味に欠けていたが、かれの乾いたタッチで描かれる流血と排泄は……ありゃあひどかった。読めんかったもの初めは。まあまあ、他にもドベドベというかグジャグジャというか、そういうマンガは多い。丸尾末広氏賀Y太も挙げておこうか。
映画でも、日野日出志のマンガを映像化したり・・・あれなんだっけか、腐りかけの人魚を地下水路で拾ってくるやつとか*2。『恋する幼虫』とか『クルシメさん』を作った井口昇監督の映画もあった。チープな映像でも、いやチープな映像だからか、その陰湿さ、陰惨さ(そして滑稽さ)が際立っているのかも知れない。
予告編を見る限り、思った以上に映像もしっかりした印象がある。これは、B級カルトの傑作誕生の瞬間に立ち会えるかも。まあムカデ人間が評判になるくらいだから、これからしばらくはC級以下のパチモン映画がこぞって人間改造ものに飛びつくことでしょう。世も末。個人的にはめっちゃ観たいけど。


ムカデ人間』は、7月2日(土)より渋谷シネクイントにて上映予定。ザ・コーヴみたいに自主規制とかにならないことを願っています。

*1:観客がアゲアゲで「ヒューマーン・センティピード!」と声を上げていたのが頭に残ってるわ…。ようつべにて。去年すでにテレビで知らされていた。

*2:『ザ・ギニーピッグ』シリーズのこと。人魚の話は第8弾「マンホールの中の人魚」。当時、宮崎勤が第2弾『血肉の華』を所持していたために『ギニーピッグ』シリーズは封印の憂き目に遭ったとか。世論の発想の貧弱なことと言ったら…