脳の鍋、ねば

追い詰められた状態、季節柄この異常な暑さ、知人に忌憚のない意見を言わせたとき、久しく籠った先に喰ろうて頭の中にウジがわき出す。気にしなかったら負けである。脇の下にムカデを喰いつかせて放っておいているのと同じである。なぜ痛いのか考えるべし。痛みを頭で考えること。快楽への転換点と垣原は言うて舌を切り取った。何度繰り返しても思考の靄を取払うことができない。矛盾が形をなさず、水棲の半透明の軟体動物のようにへばりついている。蛸壺をもて。なんと。「無自覚でいることが一番恐ろしい」と日々のたまい、「無視される方が言われるより怖い」とぬかす己が、「もう何も考えたくない、莫迦になりたい」という。訳の分からん自家撞着で。それは歯に詰まった溶けかけのホウレンソウが取れないのと同様。「誰にもケチをつけられんよう完璧になりたい」と言ったその舌の根も乾かないうちから、居間で扇風機を浴びて大の字に転がっている。人を恐れるのなら、人に長じる何かをせんければならん。追いつくなど貧乏性ではいかん。与えるの24乗くらいの勢いがなからんと。理屈は己を地獄に落とす。しかし苦しみを忘れた楽園はごめんである。ハッチ。ハクチン。菩薩様も見てくれやるやろのい。