海亀の産卵、饅頭怖い、割れ窓

――ちょっとお前さん見てごらんなさいよほら、いい月が出ているじゃないですか、十五夜に晴れてよかったですねえ。
――てめえ俺を亭主呼ばわりすんじゃねえ、俺はおめえのことをかかあだなんて思ったことはねえよ。ったく馴れ馴れしいよ。
――んもうそんなこと言って、ほらお団子いかが、おいしいのよこれ、私のお隣さんからのお裾分けなんですよ。
――そんなもの食わすんじゃねえ、俺は酒がありゃいいんだ、酒がありゃ月見もできるってもんだ。
――ええそういうと思って用意しておきましたよ、ほれ一献いかが。
――かーったくおめえってやつは気が利かねえな、一人酒がうめえと言ってるのに、ゆっくり飲ませろやい。
――はいはいそうですかお好きになさい。誰でしょうね私を呼びにやったのは。今度は何がお嫌なんですの?
――俺を饅頭怖いみたいに言うんじゃねえ、おれは好きにやってりゃいいんだ。
――そうですか、それでは私帰ります。一人でごゆっくり。
――おいおい誰が帰れといった、ここに座ってろ、ここに座ってりゃいい塩梅だ。
――何さ、ほんとに勝手なんだから。よいしょ、ああ本当に夜風もよいこと。割れ窓から眺めるってもこれはこれでオツですわね。あんたの無頼にゃ初めはそれこそたまげたけど、あんたの場合何というか、好事家なんですね。三文文士の風流人なんてよく似合っていますよ。
――けえ好きでこんなことやってるんじゃねえや、おりゃ金が嫌いなんじゃねえ、金に嫌われてんのさ。
――そうですか、そうとも言えますわな。…いや、あんた!ちょいと見てごらんな、ほら、海亀が、海亀がいるよ!!
――うるせえな、今度は酔っ払ってんのか化かされてんのか、ちったあ静かにしろ、ってうわっ!なんだこりゃ?!この気味悪いのは何だ?
――海亀、海亀が畳を掘ってるよあんた、畳が削げちまうよ。ほれなんとかおしよ、ねえあんた!
――そんなこと言ってもどうすんだよこのバカでかい亀、いったいどこからきやがったんだ?海はずっと遠くだぜ。
―いやあ卵産んでるよもうあんた、何とかおしったら!!気味悪いったらありゃしない。ちょっと、卵産むのお止めったら、ねえ亀さんお願いだから海へ帰っとくれ!!


そこで海亀が涙を流していった。
――これはあんたの孫なんですよ!! 
我ん孫だって?!






面白くもねえ。死ね。