幕間の声

たとえば再び、私が故ないところから備給を図るとしたら。盗んだ金で飯を食うようなものではなく、地元のスーパーで血のついた金を使うようなもの。
言うだろう、「もしそれが可能ならば、やればいい。その後は知らない。基本的に私は反対だが」と。誰かが私の行為を告発するかもしれない。それは故なき告発かもしれない。恐らく、誤解を恐れずに言えば(と決まり文句を引いて)誰にも責はない。
「それで、あなたは実際になさったのですね」
然り。私はおこなった。それ以上は別の話題へと移ってしまうので、口を閉ざす。あなたは言う。
いや、あなたはそう言わなかった。こちらを見るともなく、肩が浅く静かに上下していた。
「大変な努力を背負ってこられたのですね」
窓を隔てて野太い、男のくだを巻く声が聞こえ続けていた。幕間が時知れず広がっていた。この時間がいつまでも変わらなければよいのに。