バカの見本市

小耳にはさんだんだが、どうもAは嘘をついているらしい。
Bがそんな下らねえ嘘つくはずがない。だいいちよく考えてみると、Aは最近ヨタもらすことが多かった。前々から軽い奴だと思っていたがありゃあ多いってもんじゃねえ。自分の仕事もしねえし法螺は吹くし(所かまわず吹くんじゃねえよブオーッてうるせいんだよ空気読めよ)、どこをどう考えてもいいところが見当たらねえ。そんな奴は死んでしまえ、といっぺんキツく言ったんだが、何やらわけのわからんことを言い出してこっちが面喰らってとんぼ返りしてきたってわけだ。くそ、奴さんのおかげで睡眠不足だ。ぶち殺してやりたい。おれは普段なら聖人君子のごとき落ち着き払いのたたずまい、眠くなると悪鬼羅刹のごとき獰猛さ、まったく手に負えない奴だね。あーかわいいかわいい、己がかわいくてしょうがない。目に入れても痛くはないが、しかしダックスフントが自分の尻尾を追ってクルクル、そんな間抜けにも見えるしな。なんと、アンビバレンスな感情が裡に湧き起こってくる。いったい私はどうすればいいの。少なくともAの野郎は俺のことではなく他でもない自分のことしか好きじゃねえ。そんなことは言わなくたって分かり切っている。下らねえこと言ってるのは誰のためだ?取りも直さず己が為よ。自分のことが好きな奴は許さねえ。俺のことが嫌いな奴は許さねえ。あいつは俺のことは嫌えで自分のことが好きだなんていうんだ。ダブル役満だな。そういえばBはどうだ?あいつが俺にタレこんだのは俺のためか?忠誠を誓ったんだもんな。そう考えるんが筋だ。だがなあ、彼奴も、ももももしかして、己可愛さにAを売ったとしたら?こここここれは一大事だ。みな呼び出せ。この問題の中心は、実はBだったんだ。奴はこの俺の世界を崩れさすために、わざわざ問題を持ち込んだんだ。今まで疑わなくていいAを疑うようになったものもBのせいだ。痛くもねえ腹を探ったのはBの野郎だ。くっそ、舐めやがって。どいつもこいつも!! Aはもちろん処刑だ! Bはブタの餌だ。もうバラした後だから食いつくされるだけよ。ちくしょう、俺に教えなかった奴全員皆殺しだな。もう一人残らずだ。
この世の80%はどうでもいいことでできている、とエライ人が言ったとか、なんだ俺のまわり100パー無駄じゃないか、ウソつくなよ。勉強してんだろ?何でウソつくんだよ。いい大人がさあ、まったくこれだから日本は駄目になるんだよ。だいたい日本の政治もおかしいよな。全然国民のためになることをやってないじゃねえか。このままじゃ日本はダメになる!今俺が立ち上がらなくて誰が立ち上がるんだよ。市会議員立候補F田某。趣味は旅行です。赤軍派の師匠みたいなものです。


本日の教訓
〜どんな馬鹿でも最終的に辿りつき得る抽象的な問題、それは政治である〜