第3教室 第2話

そういえば、先週モーニング・ツーを買ったのだった。現在の注目株はやはり「第3教室」。前回の教室でのやりとりで、異物・主軸として期待されたのは教師阿佐田の姿をした何者か。あるいは傍観者の少年。前回は興奮していくつかの予想をしたにも関わらず、今回の内容は、そう、まるで、目の前でのショウを期待していたのに、なんとその続きが自分の中身、内臓で行われていた感覚。パッと見では新しい出来事の出現。つまり、教室の入り口の先にある迷宮。これは子供たちにとって迷路ではなく、迷宮だろう。そして、少年・まもるとちょっぴんをやる4人を監視する阿佐田。奇妙な出来事を繰り返し語ることで、世界観を伝えるという方法もあるのかもしれないが、実はこちらが予想するようなことは、多く見積もってもこの2つしかなかった。というのも、2話の最後で明かされるまもるの「事実」は、いわゆる“舞台裏”を明かすもの、ネタバレの類とも言えるからだ。え、なに言ってんの?とも聞きたくなる(そりゃてめーだ。文章ぐちゃぐちゃで分かんねえ)。

前回は傍観者として見込んでいた少年・まもるの目をたのみにしていたはずなのに、まもるの世界の認識の仕方さえもゆがんでいるかも知れないのだ。これは、この話はすべてまもるの夢なのか?おそらくそうでさえない。もう、すでにこの世界はいろいろなものが混じりあい始めている。たとえば冒頭の、西島大介を思わせる見開き。あの黒い虫はメッセンジャーなのか?そして――これが一番驚いたんだが――金魚の阿佐田のモノローグ。(さっきからみんなで教室をウロウロして……一体何をしてるんだ……?)複数の視点、複数の出来事。どれが本当のことなの?などと問いようがない。しかしそれにしても、金魚の視点がまだ生きていたとは……かつての阿佐田の意識は金魚に移ってしかるべきだったのかもしれない。彼は完全に蚊帳の外だ。この金魚が、蚊帳の外、つまり教室の中でおきる全てのことの目撃者であると同時に、完全な、どうしようもないほど疎外された傍観者として金魚鉢で泳いでいる。忘れられてもおかしくないのに、この視点がいまだに残っているというのは驚くべきことだ。これが先の話の突破口の一つとなるかもしれない。

あらためて、何が本当なの?なんて言い方はやめよう。むしろ今風に言えば、どこまでが夢なのか。まもるの夢?集団ヒステリー?教師「阿佐田」の意図の中?一言でいえばすべて夢なのだろう。水木しげるのような表情をした少年少女たち。そして「ちひろちゃんのパンツ!」。あるいは「あらゆる困難を……人間が一つになり乗り越えて行く……」などとほざいて勝手に感涙にひたっている「阿佐田」――先取りされた感があって、その小技の利き方がまたにくい。ああ、もう俺は迷い始めました。いまだに何が起きているのか判然としない。作者の作りこみ方は半端じゃない。感想を書いているように見せてただうわごとを書き散らしているこの文章に、何か参考になればと思ってこられた方々は更に迷い込んでいただきたいものだ。これはもう、一筋縄じゃいかない。一筋縄じゃいかないものを、どうやって読者をひきつけ、さらに深みに入って行くような作りにしようとするのだろう。お決まりで言えば短期連載。あるいは打ちきり。それを超えれば神。