いいんだけどさ。

確かに雨が降ってるよ。数少ない休日なのに雨が降ってさ。世が世なら映画にもフラフラ行ってるさ。誰かを誘って遊びにでも出かけてるかもしれないよ。
……ってそんなことを口にしたのだ。そしたら、「行けばいいじゃん」って言われたんだよ。
なんだよ、行ける状態じゃねんだよ。やんなきゃいけないこともあるしさ。そしたら今度は、「じゃあ行かなきゃいいじゃん」だって。馬鹿にしてんの?!ねえ馬鹿にしてんの?この私のことを?親父にだって馬鹿って言われたことないのに!!・・・嘘です。


よく言われるよ。「自分に素直じゃない」って。そんなん当たり前じゃん。やりたいことが全部通るわけじゃないし、言いたいことが全部言えるわけじゃないでしょ、常識的に考えて。でもそういうことじゃないんだってさ。少なくとも自分の分かる範囲で解釈すると、「何がしたいのかを人に伝えようとしていない。それなのに言外で○○したい…というのを匂わせている」ということらしい。

正直、私の場合「自分の望みはまず人に伝わらない」という前提からすべてが始まってるわけね。だから人に分かってもらおうとも、伝えようとも思わない。少なくとも私は言われたことはやるようにしている。それ以上のことはやらない。というかやりたくない。もちろん性格的に仕事を必要以上に請け負って、溺れかけることもあるけれど、人に不満を漏らしたりするようなことはやらないようにしている。そのつもりでやってるんだけど、どこかで中身が外側に染みだしてくるらしい。しんどそうなオーラがにじみ出ているらしい。それで、「もっと言いたいこと言ったらいいんですって」なんて言われるのだろう。でもね、そんなこと言ったら自分でできることとできないことが分かんなくなってしまわないの?私は人に頼りすぎてしまうのが怖い。だから、そんなことになるくらいなら、自分でできることは自分でこなしてしまうのだ。何か悪い?

そういうことを説明したこともあったさ、でもその時の返答は、「大変ですねえ、毎日しんどいでしょう」だって。当たり前じゃん!!しんどくないことなんてこの世にありませんよ!なめてんの?ねえなめてんの君?そういう感じで返したら、溜息つかれてしまいましたよ。なんだよ。言いたいことがあったら言えっていったのは君でしょ。至極真っ当に筋道立てて話したつもりなんですけどね。


たしかに、こんな日々を送っているのは正直しんどい。でもそうするしかないのだ。そうするしかなかったのだ。自分は自分で、他人は他人だ。わかってもらうなんてあり得ないし、おこがましい。こんな人生をこれからずっと送ると考えるだけで、気が滅入ってくる。このまま人生の終末を迎えてしまったらどんなに楽だろうと思う。だから、人生気楽に生きてそうな奴を見ると、心底ムカついてくる。でもそれと同時に、自分はそんな人生を送る資格はないのだ、とも痛感する。いちばん愚かなのは他でもなく、自分なのだ。愚物とは自分のことなのだ。私は今まで周りの人に迷惑ばかりかけてきた。だからこれからの余生は、償いのために使われなければならない。私は罪を償うために生きているのだ。生かされているのだ。だから、苦しいのだ。


もっと肩の力を抜け。思っているほど、この世はつらいものではない。そんなことを何度言われただろう。
欲望ばかりが肥大し、それに反して社会の縛りがきつく感じられていく。やりたいことができるのなら、とうの昔にやっている!!その言葉は、確かに私の本心だ。しかし一方で、苦しい、苦しいと憐れっぽく呻いている自分がいる。こんな自分が嫌になる。


もっと正直に、言いたいことを言えばいい。
そう言った君は、私に何を伝えようとしていたのか。おそらく君はこう言うだろう。


「別に何も伝えることなんてありませんよ」と。