卒業制作展に行ってきた

先日、京都造形芸術大学の卒業制作展に、京都市美術館まで行ってきた。以前旅館のバイトをしていた時に知り合った子が誘ってくれたのだ。当時彼女は大学一回生。そんなに時間が経ったのか…と最近ではお決まりのセリフを言ってみるなど、まったくしょうもないことこの上ないのだけど、あいにく今回はそういう話ではない。そんな話など誰も聞きなくないだろうし、好都合ではある。
制作展の最終日、もし本人がいればいいな、などと妙な下心を持って出かけたのだが、自分の予想は良い方向に裏切られた。面白い。面白すぎる。学部学科が違うだけで製作するものが違うのは当然なのだけど、それ以上に人それぞれ、全然違うものを作っている。ここまで違うと教官はどうやって評価を下すのだろうか。造形大では各制作のなかでも、秀でたものには学科賞・学長賞・瓜生山賞という賞を与えている。あとで搬出にやってきた彼女に聞くと、各学科の中で評価が高いものに学科賞を与え、その中でも優れたものに学長賞、そしておそらく最も優れた作品に瓜生山賞が与えられるようだ。ほかにも渾沌賞なるものもあり、これは美術系の作品に与えられていた。
もちろんこのような賞を当てにするまでもなく、ブッ飛んでいるものは確実にある。例えば縦幅3m、横幅10m近くのベニヤ板に色んな絵柄がひしめき合っていて、そのど真ん中に「ベニヤ」と堂々と描いてある作品、何人もの人間が焦点の合わぬ真ん丸な目でこちらを凝視する絵など。特に面白かったのが先端アート科、コミュニケーションデザイン科だったか。特徴的なキャラクターをずらり並べてみたり、セルフプロデュースしたアキバ系アイドルのCD・PVと看板――これには笑った――、どでかい自分の頭部の模造を割った所にテレビや落書き、張り紙が所狭しと集まっているものなど、一発で人目を引くような作品ばかり。
しかも、あのfellows!の小冊子・チャイナフェローズの最後に作品を載せていた高橋拡那氏もまた、そこに作品を出していたのだ。本人はそこに、いくつもの短編を収録したハードカバーの本を作っていた。絵柄を見た時、「・・・コミックビームのニオイがする」と思ったものだ。さすが、相当にクオリティは高かったが、同じテンションの作品を何掌も一気に読むのは辛く、2/3ほどでやめてしまったのだけど、ああ、あの制作、できれば売ってくれないかな……ほしいなあ……。この人伸びますよ絶対。
そして、誘ってくれた本人の作品が残り1時間弱だと言うのに見つからない。どうやら1階にも展示があるようだ。1階には、デザイン系の作品がずらり。そこに彼女の作品はあった。干拓された諫早湾保護のためのデザインは、紅い花が見事に映え、まさにタイトルのごとく「夢」のようであり、そして「聖域/禁域」のようでもあった。環境問題をテーマにしたこの作品は、そのアイデアの堅実さとデザインの鮮やかさが他の作品と比べて突き抜けているように感じられる。
また隣のホールでは、映像作品などがたくさん。映像は生で見る時間がないから雰囲気だけしかつかめなかった。そしてあれどこだったか…別の科のブースに入ると、賞状作って配っている人がいるし、面白いパフォーマンスをやっていただろう写真を貼っているものもある。そして最後に印象に残ったのは、日曜から土曜まで1週間のデザインをしているもの。それぞれの曜日には、デフォルメされた動物が陣取っている。何だか脱力感があって、見ているだけで笑える。それを見ていると、気さくなおねーさんが声をかけてくる。これ私が作ったんです、と。そこでそのおねーさんに、今度大学でこんなのやるんです、良かったら見に来てください。500円です。ああ500円ね。なんか流れに乗っちゃった感満載だが、ここはそんな雰囲気も込みでの制作展だよね。とチケットを買わせていただいた。
これが、3/13-15に計6回行われたBlack Parade。今日はこの見学日記を書くつもりだったのだけど、先日の制作展を前フリ用に書いていたらこんなになってしまいました。TOWAIEというグループが主催している、このBlack Paradeとは!?
後日書きます。

あと、このブログ見ていたら、高橋拡那氏、そして1週間の絵を描いていた方、売ってくださらないだろうか…。ぜひぜひ。